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八巻 徹也; 小林 和博; 浅野 雅春; 久保田 仁*; 吉田 勝
Polymer, 45(19), p.6569 - 6573, 2004/09
被引用回数:56 パーセンタイル:82.72(Polymer Science)架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にスチレンを線グラフトした後、スルホン化することによって、プロトン交換膜を合成した。グラフト率は、PTFE基材膜の架橋密度とグラフト反応の条件により775%の範囲で制御された。今回の作製条件において、膜内部まで均一にスルホン酸基を導入するためには30%以上のグラフト率が必要であることがわかった。得られたプロトン交換膜は、ナフィオンのような市販のパーフルオロスルホン酸膜を大きく上回る2.9meq gという大きなイオン交換容量を有するとともに、含水時における高い寸法安定性も兼ね備えている。これらの優れた特性は、言うまでもなく架橋PTFEをグラフト基材に用いたことに起因し、われわれのプロトン交換膜が燃料電池に応用可能であることを強く示唆している。
伊藤 泰男*; F.M.H.Mohamed*; 瀬口 忠男; 大島 明博*
Radiation Physics and Chemistry, 48(6), p.775 - 779, 1996/00
被引用回数:19 パーセンタイル:81.64(Chemistry, Physical)未照射PTFE、放射線架橋PTFE、放射線分解PTFE、高結晶性PTFEとその線照射物の5種類のPTFEについて、20Kから400Kの温度範囲でポジトロンの寿命測定を行い、オルソポジトロニウムの寿命と強度からPTFE中の空孔に関する情報を得ることを試みた。その結果、非晶質部分及び結晶と非晶質の境界の空孔を反映しており、粘弾性測定の結果と部分的に対応している。オルソポジトロニウムの強度は複雑であるが、ポジトロン照射の特異な側面が観測された。
田畑 米穂*; 大島 明博*; 高鹿 和信*; 瀬口 忠男
Radiation Physics and Chemistry, 48(5), p.563 - 568, 1996/00
ポリテトラフルオロエチレンとポリスチレンの放射線照射効果に及ぼす温度依存性について調べた。ポリテトラフルオロエチレンは、融点直上で架橋するが、融点以下の温度では主鎖切断を起こす。しかし、77Kの極低温では、その切断は抑制される。一方、ポリスチレンは、室温照射では効果的に架橋するが、ガラス転移点異常の温度での照射では、切断が支配的になる。また、アタクテックとシンジオタクテックの構造の違いによりその照射効果は異なるとともに、結晶や非晶の違いにおいても照射効果の違いを観察した。
大島 明博*; 田畑 米穂*; 工藤 久明; 瀬口 忠男
Radiation Physics and Chemistry, 45(2), p.269 - 273, 1995/00
被引用回数:186 パーセンタイル:99.73(Chemistry, Physical)PTFEシートを真空下において室温から380Cまでの種々の温度で線及び電子線照射を行った。照射温度とともに破断強度及び破断伸びが低下した。しかし、PTFEの結晶化融点(327C)付近における照射では、強度及び破断伸びの低下は著しく抑制された。融点以下の照射では、強度及び伸びは数kGyで低下した。しかし、340Cの溶融状態での照射では、力学的特性が半減する線量は1MGyであった。また、溶融状態で照射した場合、熱分析からPTFEの結晶性は線量とともに減る。一方、引張試験によるモジュラス及び降伏点強度は線量とともに増大した。これらのことから、真空中、融点付近の溶融状態での放射線照射により、PTFEは架橋を起こすといえる。
大阪支所
JAERI-M 92-129, 40 Pages, 1992/09
本報告書は、大阪支所において、平成元年度から3年度までに行なわれた研究活動を、各年度ごとにまとめたものである。主な研究題目は、エキシマーレーザー光照射による有機低分子化合物より高付加価値化合物の合成、高機能付与のための高分子表面改質、線によるグラフト反応及び難燃材料の開発、放射線による金属カルボニル及び金属塩水溶液からの金属微粒子の合成、化学吸着による多層膜の形成、気体の励起発光、線量測定の研究などである。
諏訪 武
JAERI-M 8529, 180 Pages, 1979/10
放射線重合法により、乳化剤を添加することなく水媒体中で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ラテックスを合成しうるという興味ある事実を見いした。安定なラテックス状でしかも高分子量(210以上)のPYFEを得るために、重合挙動、ラテックスの安定化機構とその安定性、および得られたPTFEの融解・結晶化挙動について系統的に研究を行った。PTFEは照射線量率/モノマー仕込み量の比が大きい場合に安定なラテックス、小さい場合には不安定なラテックスで生成する。ラテックスの安定化は主として照射によって生成したポリマー鎖末端のカルボキシル基およびフッ化水素とOHの吸着による。また、ラジカル捕捉剤を添加することにより高分子量のPTFEを得た。また、PTFEの結晶化熱から分子量を求める方法を見いだした。
諏訪 武; 渡辺 光崇; 岡本 次郎; 町 末男
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 17(2), p.503 - 516, 1979/00
乳化剤不在下の放射線乳化重合で得られたポリテトラフルオルエチレン(PTFE)ラテックスの安定性を検討するために電気泳動による電位の測定および電導度滴定を行った。放置安定性は線量率よりむしろ全照射線量に依存し、次の領域で安定なラテックスが得られた:logD0.026V-0.6 ここでDは照射線量(10rad)、Vはラテックス中のポリマー濃度(g/l)である。安定性はモノマーが充分存在する重合中にのみ増加する。ラテックス粒子の電位は重合したままの状態(PH3)では-25~-50mVであり、PH10では-50~-65mVと安定性はアルカリ側で増加する。また表面電荷密度は水の放射線分解のG値から計算した値より電導度滴定による実測値の方が大きい。上の結果から粒子表面に酸が依存することは明らかである。これらの酸はカルボキシル基と吸着したフッ酸であると推測され、安定化はこれらの酸およびOHによるものである。
諏訪 武; 瀬口 忠男; 武久 正昭; 町 末男
J.Polym.Sci.,Polym.Phys.Ed., 13(11), p.2183 - 2194, 1975/11
ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)の融解および結晶化挙動は分子量によって著しく変る。分子量30万以下の低分子量PTFEにおいては、DSC融解ピークは単一である。ところが高分子量になると二重ピークを有する。昇温速度を速くすると、高温側ピークが低温側ピークより大きくなる。二重ピークを有するPTFEの形態は、おもにfolded ribbonすなわちgranular particleである。二重ピークの現象はfolded ribbon中に、「folding part」と「linear part」という二つの異なる結晶状態の存在することで説明されうる。これらの結果をもとに、我々は低分子量を高分子量PTFEの融解および結晶化のモデルを提案した。
瀬口 忠男; 諏訪 武; 田村 直幸; 武久 正昭
J.Polym.Sci.,Polym.Phys.Ed., 12(12), p.2567 - 2576, 1974/12
テトラフルオルエチレン(TFE)を放射線乳化重合したときに得られるポリマー(PTFE)の形態を電子顕微鏡で観察し、重合条件とポリマーの形との関係をしらべ形態におよぼす原因を検討した。観測されるポリマーの形は繊維状、棒状、粒状と3つに大別できる。繊維状のものは乳化剤濃度が高く、線量率が高い場合に得られ、粒状のものは乳化剤濃度が低い場合に得られる。棒状のものはそれらの中間のときに得られる。しかし乳化剤濃度が高くても、後重合の場合には粒状になった。したがって照射中の乳化剤濃度が重要な役割を果たしていることがわかった。分子量と形状を比較すると、低分子量のものは繊維状高分子量のものが粒状になり分子量に強く影響を受けている。
諏訪 武; 武久 正昭; 町 末男
J.Appl.Polym.Sci., 18(8), p.2249 - 2259, 1974/08
被引用回数:13テトラフルオルエチレン(TFE)の放射線乳化重合に関する報告はほとんどなされていない。そこで乳化重合についての定量的知見を得るために、撹拌速度、線量率および乳化剤濃度等の影響について検討した。TFEの重合速度は非常に速くモノマーの供給律速になる可能性があるので、撹拌速度と重合速度の関係について明らかにした後で、線量率と乳化剤濃度の影響を検討した。210R/hrでは重合速度は線量率の0.8乗に比例した。また乳化剤濃度が高くなると分子量は著しく低下し乳化剤はchain transferの役割をしていることが明らかになった。乳化剤濃度は重合速度にほとんど影響を与えないが、ポリマーラテックスの形状に著しい影響を与える。また、後重合効果について検討した。
萩原 幸; 田川 徹*; 土田 英俊*; 篠原 功*; 鍵谷 勤*
高分子論文集, 31(5), p.336 - 340, 1974/05
ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)に線を照射すると、その引張り強度および伸びは線量とともに急激に低下する。この強度低下は空気中照射もしくは照射後の加熱によって一層顕著となる。さらに、この崩壊反応は高温で、とくに、ハロゲン置換メタンを共存させると効果的に起ることを見いだした。生成気体の分析から、空気中における崩壊反応はCOおよびCOの発生をともなっており。一方、CClを添加した場合にはCFClおよびCFClが生成し、CHClを添加するとCFCl,CHFCl,CFCl,CHFCl,CHClなどが生成することがわかった。以上の結果に基づきハロゲン置換メタンによる崩壊促進機構をラジカル連鎖反応によって説明した。
諏訪 武; 瀬口 忠男; 武久 正昭; 町 末男
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 17, p.213 - 216, 1974/00
ポリテトラフルオルエチレンの融解および結晶化挙動を分子量と関連させて研究した。As-polymeriged PTFEのDSCによる融解曲線はポリマーラテックスの形態と密接な関係があり、Mn3010でFibril状のものでは単一ピークを示すが、Mn=3010~175010の範囲ではrodおよび状folded ribbonのものは二重ピークを示した。また As-polymeriged PTFEの融点は10010以下では約330Cであるが、これ以上になると分子量の増加とともに高くなる。
諏訪 武; 武久 正昭; 町 末男
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 17, p.217 - 220, 1974/00
As-polymerized PTFEを融点(327C)以下で、熱処理すると結晶化度は低下する。Mn=10~10では部分融解した一部は再配列して結晶化するが、Mn10(とくに10以上)では部分融解して非晶域が増加するのみで、再配列による結晶化はほとんど起こらない。熱処理により再配列して、As-Polymerized PTFEの結晶化度に近ずけうる分子鎖長は、1000A位までで、それ以上になると一度融解する再配列は起きてもAs-Polymerized PTFEの結晶化度にまで到達しえない。
諏訪 武; 武久 正昭; 町 末男
J.Appl.Polym.Sci., 17(11), p.3253 - 3257, 1973/11
被引用回数:155ポリテトラフロロエチレン(PTFE)の融解および結晶化挙動をDSCを用いて検討してきた。結晶化熱は分子量が増大すると再配列しにくくなるために低下する。この現象に着目して結晶化熱と分子量の関係を検討した結果、Mn=2.110Hcなる関係が得られた。PTFEは溶媒に溶けないために分子量が一般のポリマーにように簡単に求められなかった。しかし我々が考えたDSCによる結晶化熱の測定法で簡単に分子量が決定できることになった。
依田 修; 田村 直幸
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 16, p.231 - 234, 1973/00
未焼成ポリテトラフルオルエチレンのラテラル方向の微結晶サイズと格子歪を、100デバイーシェラー線を測定することによって調べた。その結果(1)乳化重合PTFEに懸濁重合物よりも結晶サイズは大きく、また分子鎖のパッキングはより密である。(2)機械的処理によって微結晶はより小さくなり、格子歪は増大すると共に、非晶成分が現われる。(3)焼成によってポリマー分子鎖は再配列を起し、格子の欠陥部分は結晶外に押し出されることにより結晶サイズが増大すると共に歪は減少する。(4)50MRまでの線照射では結晶サイズ、格子歪共に顕著な変化は見出されないことがわかった。
坂本 正誠; 飯泉 仁; 正木 典夫; 本橋 治彦; 皆川 宣明; 土井 健治; 栗山 将; 依田 修; 田村 直幸; 小田島 晟*
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 15, p.141 - 144, 1972/00
1軸配向したポリテトラフルロエチレンの繊維状の試料を使い、中性子の干渉性非弾性散乱の測定を行い、配向した方向に沿って原子が振動する格子振動の縦波音響波分技の分散関係を測定した。